畏友T君に大切な用件で会うため、半日年休を取り福岡に向かっている。
車中、江國滋氏の「おい癌め 酌みかはさうぜ 秋の酒」と戸塚洋二氏の「がんと闘った科学者の記録」を読んでいる。
私は今年6月1日のFacebookに、このblogを転載し、かつ下記のように追記した。
「65歳になりました。生涯で最も大切なものを得た1年でした。これを患者さんたちに還元して行くことが、これからの使命でしょう。この1年、”Few more Months"と唱えながらやってきました。今日は”One more Year"と唱えます。」
実はこのFew more Monthsという言葉は戸塚洋二氏のblogのタイトルでもあるのだ。
戸塚先生が優れぬ体調のなか残された「治療経過」「人生」「教育」「科学政策」「奥飛騨」などのカテゴリー別の日々の明晰・濃密な記録を読み、江國氏の俳人・滋酔郎としての苦悶の中にも飄々たる面目を失わない闘病記を読むと、果たして自分など、この駄文をつらつらと思い出したように書き継いで行く意味などあるのかと自問してしまう。
だが江國氏の闘病記が1997年、戸塚氏のblogが2007年、そして今2019年と、ほぼ10年ずつの間隔をおいてその抗がん治療の実態を記してみると、その間のoncologyの進歩(病態解析と治療学の)は目を見張るものであることがわかる。
両先輩には比べるべくもない小生だが、やはり恩返しのつもりで、恥ずかしながら拙文を記して行こう。